明里さんはその日予定も無くただ安アパートの部屋でのんびりしていた。
安アパートの最上階に位置する部屋からは街の景色がよく見え、お気に入りだった。
ぼーっと窓の外を見ていると、チラチラと白い雪が降り出している事に気がついた。
「もう雪が降る時期かー、早いなー」
と外の様子を見ようと窓へ近づいた。
しかし全く雪は降っておらず晴れている。
「あれ?」
と不思議に思い窓を開け、狭いベランダに出たときに気づいた。
雪だと思っていたそれは小さく纏められたいくつもの白い髪の毛の塊だった。
明里さんは今でも雪を見るとちょっと嫌な気持ちになるそうだ。