会社員の川田さんは健康の為、毎朝近所をランニングしている。
その日は朝から曇り空で、気分もどんよりとしそうな空模様だった。
いつものように住宅街の小道を抜け、大通りに向かっている時、道の横に面したアパートのベランダで、女性が洗濯物を干している様子が目に入った。その女性の横で何かがゆらゆらと揺れている。
思わず足を止め、目を凝らすと、それは黒い大人程の大きさをした、てるてる坊主のように見えた。
気味が悪くなり、足早に住宅街を駆け抜けて振り向くと、道に面した家々の玄関先で、無数の黒いてるてる坊主が、ゆらゆらと揺れていた。
「たくさんの人が首を吊っているかの様でした。」
川田さんは翌日からランニングコースを変えたという。
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