ねこ科たぬきの部屋

ホラーとプロレスが大好きな男が南の島から短編の怖い話奇妙な話をお届けします

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奇譚 吊し上げ



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会社員の川田さんは健康の為、毎朝近所をランニングしている。

その日は朝から曇り空で、気分もどんよりとしそうな空模様だった。

 

いつものように住宅街の小道を抜け、大通りに向かっている時、道の横に面したアパートのベランダで、女性が洗濯物を干している様子が目に入った。その女性の横で何かがゆらゆらと揺れている。

思わず足を止め、目を凝らすと、それは黒い大人程の大きさをした、てるてる坊主のように見えた。

 気味が悪くなり、足早に住宅街を駆け抜けて振り向くと、道に面した家々の玄関先で、無数の黒いてるてる坊主が、ゆらゆらと揺れていた。

「たくさんの人が首を吊っているかの様でした。」

 川田さんは翌日からランニングコースを変えたという。

 


 

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